FUNKY MONKEY TRAVELERS

AURORA TOUR 1995 08 -アラスカ旅行記旅行記-

8.意外な落とし穴

フライトを終えたその日の夜は、4人での最後の晩餐となった。明朝の飛行機で、佐伯さんと河西さんは留学先のシアトルへと戻ることになっていた。宿の近くの日本料理屋で、久々の日本食を食べた。アンカレッジにはなぜか日本料理屋が多く、寿司やラーメン、てんぷらにいたるまで何でも食することができる。

翌日、佐伯さんと河西さんはシアトルへと帰り、僕と坂口君とは一緒に市内をぶらぶらとしていた。僕は予定では今夜の午前4時の飛行機でソウルへと旅立つことになっていた。
僕は何気なく確認のために、肌身離さず持っていた航空券を取り出し、日時を見てみた。すると、アンカレッジ発の飛行機の日時が3月28日になっていた。ちょっと目を疑った。今日は3月28日のはずだ。今は午後3時だからこの時間はとっくに過ぎていた。僕の顔から血の気がひき、動揺を隠せない。僕のスケジュール帳には28日の欄に「深夜4時」と書いてあった。
完全なミスだった。1日ずれていたのだ。スケジュール帳の27日の欄に書いていれば問題なかっただろうに・・「旅行経験の豊富な僕がこんなとんでもないミスを犯すなんて・・・何回旅行しているねん!」と自分自身をなじった。
しかし、今更どうにもならなかった。とりあえず、タクシーをつかまえてアンカレッジの空港へと急いだ。大韓航空のカウンターにいた男性アメリカ人にチケットを見せ、うっかり出発の日を間違えていたという事情を話した。カウンター氏は僕の状況を理解してくれ、「多分大丈夫だと思うよ」と言ってくれた。オフィスの中へ連れて行かれ、カウンター氏はチケット担当者と何か話していた。数分後、ようやく彼が僕のところへとやって来た。「申し訳ないが、このチケットでは次の飛行機に乗せてあげることはできない。格安航空券だから・・」 予想はしていたが、かなりショックだった。でも落ち込んでばかりはいられない。なんとか4月1日までには帰国しなければいけない。社会人第1日目から休んでしまえば、後々まで「いいかげんなやつ」と思い込まれてしまう。カウンター氏は僕の落ち込み様に同情し、電話帳でアンカレッジ市内の旅行会社数社に電話し、最も安い日本までの格安航空券を探してくれた。大韓航空オフィスで先に座席を予約してもらってから、電話した旅行会社へ。アンカレッジ~関空間往復で約7万円。痛い出費だった。

29日発の大韓航空で何とか3月30日に無事帰国。僕の初任給の大半は、この7万円のクレジットカードの支払いへと当てられた。でも、カウンター氏の親切には大変感謝していた。客という立場ではあるが、見ず知らずの東洋人なのに、親身になってくれた。(通常、航空会社の人間が正規航空券よりも格安航空券を薦めて、旅行会社に電話して探すなんていくら“サービス”といえどもしないだろう。)
この旅で僕は、確かにすばらしいオーロラを見た。北米最高峰マッキンリー山も見た。しかし、自然のすばらしさだけではない、人間の暖かさにも触れた。この旅がこれから社会に出る僕にとって、とても大切なことを教えてくれたということは言うまでもない。ありがとうアラスカ!

(完)