FUNKY MONKEY TRAVELERS

AURORA TOUR 1995 03 -アラスカ旅行記旅行記-

3.North Woods

アンカレッジからフェアバンクスまでは飛行機で1時間ほどだった。また空港で、地球の歩き方に載っていた小さなロッジに電話した。「車ですぐに迎えに行くから待っていなさい」という。15分ほどで、30歳ぐらいの男性が迎えにきてくれた。彼が今日泊まる” NORTH WOODS LODGE “のオーナーだ。” NORTH WOODS LODGE”は市街から少しはなれた森の中にあった。アイスバーンの上を滑らせながら凍結している川を車で渡り、ロッジに着いた。深い雪に覆われたログハウス、市周囲の白樺の木々は、雪の重みでアーチ状に曲がっている。ロッジの中には、北海道の大学生がいた。彼も一人で旅をしているらしい。北海道大学の学生で名前は坂口君。オーナーの話では、現在このロッジには、2人の日本人女性の客がいるらしかった。僕の寝床は2階の屋根裏部屋だった。そこに寝袋をひいて寝る。だから1泊$15だった。

美しい森の夕暮れ

美しい森の夕暮れ

僕は坂口君と一緒に街に出るために、車で市内に送ってもらった。フェアバンクスはアンカレッジに次ぐアラスカ第二の都市で、町には大きなスーパーが建ち並ぶ。今世紀初頭のゴールドラッシュ時にできた町で、幾度となく栄枯盛衰を繰り返してきた。この時期は、オーロラを見に来る観光客が結構いるらしい。しかし、その大半が日本人らしい。一緒に市内を見てまわったが、特に目新しいものはなかった。ロッジに戻ると、2人の日本人女性がいた。名前は佐伯さんと河西さん。2人とも会社を辞め、シアトルに留学中らしい。僕たちと同じようにオーロラを観るために、シアトルからアラスカにやってきた。
話をすると、彼女たちは明日チェナホットスプリングスに行くらしい。ここは名前のとおりの温泉で、フェアバンクスより車で100キロの地にある温泉リゾート地だ。露天風呂も完備してあり、オーロラを見ながら温泉を楽しむことができるらしい。羨ましいなと思っていると、「一緒に行くか」と誘ってもらった。「ロッジを予約してあるから泊れるし、割り勘できるから助かるわ」ということだ。願ってもない話だ。当然「Ok」した。こんなわけで、4人でその温泉に行くことになった。
夜になって、そろそろオーロラを観測できる時間帯になった。僕はロッジの紹介で、オーロラ観測のツアーに参加した。スキー場に行って夜9時から深夜2時まで観測する、金額は50ドルぐらい。ちょっと高いが、周りに何もさえぎるものがないスキー場でオーロラを見てみたかった。9時になって、ガイドのジム(うそ、忘れた)が迎えにきてくれた。彼は20代後半のまじめそうなアメリカ人で、“アラスカ”という雰囲気ではない。結局、客は僕一人だけだったみたいで、彼の車に乗って2人でスキー場に向かった。

スキー場は真っ暗で、誰もいなかった。確かに、周りにはリフトこそあれ、木々はなく観測には適しているようだった。僕たちは頂上付近の山小屋の窓から空を眺めながら、オーロラが出てくるのを待っていた。僕は持ってきた一眼レフカメラに高感度フィルムをつめ、三脚に取り付けた。オーロラが姿を現せば、すぐに写真を撮ることはできる体制だ。しばらくして、日本人の団体客がやってきた。オーロラを見に来るのは日本人ばかり。

ノースウッドロッジの皆さんと

ノースウッドロッジの皆さんと

時々外に出て、様子を伺う。かなり着込んでいるので、それほど寒くはなかった。寒いというより痛い感じだ。ドライアイスを手で触った時の痛さに似ている。ホッペタや鼻は冷たく、少しでも深い呼吸をすると、肺が冷たさを感じて痛くなる。極寒地では、深呼吸は禁物である。冷たい空気が肺胞を凍らせるからだ。だから、フェアバンクスの小学生たちは冬場に走ったり、激しいスポーツをしないらしい。
2時間ぐらいロッジを出たり入ったりと繰り返し、注意深く観察していたが、はっきりとオーロラだとわかるものはなかった。結局、4時間ほど待っていたが、オーロラは姿をあらわさなかった。僕はすごくがっかりしていた。意気揚揚とやってきたのに、完全に出鼻を挫かれた感じだった。ガイドのジムも少しがっかりしていて、「次は絶対見れるから心配しないで」と言ってくれた。せっかくここまできて、オーロラを見ることができず帰って行く人もいるらしい。こればっかりは自分の力ではどうしようもない。天に祈るような気持ちだった。