FUNKY MONKEY TRAVELERS

ウルルン雲南省07 -中国・雲南省旅行記-

7.神秘の湖

険しい虎跳峡

険しい虎跳峡

濾沽湖(ルグフ)は、寧浪(ニンラン)という町までバスで行き、そこからミニバスに乗り換えなければならなかった。寧浪行きのバスは午前7時発というのがあったが、手持ちの”中国元”が無くなったために銀行で両替しないといけなかったので、結局7時発のバスには乗れず、次の午前11時発のバスで一路、寧浪に向かうことにした。銀行が9時に開店すると同時に、両替をしてもらい、宿に戻ってゆっくりと朝食を食べた。おばさんの手料理は相変わらず美味しく、やさしかった。宿のみんなに別れを告げると、近くのバス停までおじさんが連れて行ってくれ、バスが来るまでずっと一緒に待っていてくれた。本当に親切な宿だった。
乗り込んだバスは普通のマイクロバス。僕の他に数人の中国人が乗っていた。数年前に道路が整備され、アスファルトになって、とても走りやすくなったみたいだった。「歩き方」によれば、麗江・寧浪間は4.5時間ぐらいでアクセスしているとあった。このとおり行けば、午後3時か4時には寧浪に到着し、濾沽湖には日が暮れる前、午後6時ぐらいには着くだろうと思っていた。
土砂崩れが道を阻む

土砂崩れが道を阻む

しかし、それは大きな誤算だった。麗江から濾沽湖に行くには、世界一の峡谷といわれる虎跳峡の山間を通り抜け、その後も険しい山道を通り抜けなければいけない。それほど容易なものではないのだ。高低差3000mといわれる虎跳峡の谷間を、バスは走り抜けていく。右に、左にと細かいカーブが連続している。しかも、峡谷ほぼ垂直に切立っていて、もしバスが谷に落ちれば、間違いなく命は無い。なんてたって、見たところ1000mはありそうなほど、深い谷だった。それでも、バスがきちんと止まらずに走っているところまでは良かったが、途中で、道は崖崩れで分断されていた。僕たちが進むべき道は、大量の土砂で埋まっていて、進むことができない。反対側でも車が列をなして待っているのが見える。だが、既にショベルカーが崖崩れの修復作業を行っている最中だったので、さっさと道を塞いでいる土砂をどけてくれるだろうと思って、安心していた。
ああ!!崖崩れ しかし、それも誤算だった。ショベルカーの作業員は、待っている僕たちのことなんて全然興味がない様子で、道路とは関係の無い土砂を取り除く作業を続けていた。そして、その作業は1時間以上も続き、その間も僕たちはずっと待たされていた。頭に来たバスの乗客が、ショベルカーの作業員に文句を言ってくれたので、ようやく道路の土砂を取り除く作業をし出した。バスが通ることができたのは、1時間半後のことだった。
ようやく、賑やかな集落が見え、車や人の行き交いが多いエリアに入った。どうやら寧浪に到着したみたいだった。到着は予想外の午後6時過ぎ。すぐに、濾沽胡行きの乗合タクシーに乗り込んだ。運転手も僕たちのバスの客を待っていたらしく、乗り込むとすぐに出発した。
相変わらず、険しい山道が続く。8人乗りのステーションワゴンにフル乗車だったので、車もかなりきつそうだ。この車にもかなり長い時間乗っている。僕のデジタル時計は21:00と表示していた。ガイドブックには、寧浪から約80kmと書いてあったが、実際には、もっと距離があるのかもしれない。ましてや山道。歩き方の記載は、直線距離なんじゃないのか、一体いつになったら着くんだと、怒りと不安で胸がいっぱいになる。
あれこれ考えていると、車がとある建物の門をくぐり、中庭のようなところで止まった。辺りは真っ暗、建物にも明かりが点いていない。何となく怪しげな雰囲気に、ちょっと不安になったが、もしかしてと思ってドライバーに尋ねた。
 「ここがルグフ?」
そうだ。彼は、首を縦に振って、車から降りると、来いという感じで、僕を建物の外に連れ出した。そういえば、暗いが静かな波音が聞こえ、心地のいい風が身体をすり抜けていく。建物の前の道を渡り、よく見ると、そこには深く黒い水面が一面に広がっていた。予想よりもずっとずっと広い。車に乗っているときには全然気がつかなかった。空には満点の星空が広がっていて、その星の明かりで、湖面が照らされ、美しくなびいているのがわかる。
ドライバーは、ほら「ルグフ」文句あるか?という感じで自慢げに僕に言ってくる。
「おおぉぉぉ!! ルグフ!!」
僕は大きな声をあげ、感嘆するしかなかった。
どうやら、この町は停電していて、どの建物にも明かりが点いていないようだ。しかし、星空に照らされ、湖面が浮かび上がることによって、「濾沽湖(ルグフ)」をより神秘的なものにしているようだった。
遥々来た甲斐があったとつくづく思った。