6.誤算
翌日、朝早く起きて、早朝の麗江を散策して回った。朝は観光客も少なく、本当の人々の暮らしをつぶさに見てまわることができるので、それに朝日を浴びて、輝く街並みはとても美しく、写真を撮る上でも朝の撮影は基本中の基本だ。お陰でいい写真が撮れたと思う。
2時間ほどブラブラとしてから、宿に戻って朝食を食べ、麗江の北に位置する白沙の村に行くことにした。なんでも麗江の街の北に位置するマーケットの横から白バスが出ていて、たった2元で白沙に行けるというので、宿のお姉さんにそこまで案内してもらった。大勢の人で活気のあるエリアに幌を被せた数台の軽トラックが並んでいた。その中から白沙行きの軽トラを探してくれた。
荷台を改造した軽トラックは市民の足になっている様で、麗江近郊であれば、この軽トラを屈指すれば、どこでも行けてしまいそうだ。
軽トラに揺られ、素朴な風景を眺めながら走っていると、徐々に玉龍雪山を擁する山々が大きく見えてきて、やがて、小さな村落に到着した。どうやらそこが白沙の街らしかった。明清王朝の時には、麗江の政治文化の中心地として栄華を誇ったその村も、今はひっそりとした静かな農村に過ぎないように見えた。ただ、建物は昔の面影を残しているようで、所々に立派な門や仏教関係の寺を見ることができた。

白沙の村

演奏するおじいさん

白砂の壁画

一緒に踊らされる
麗江に戻ると、午後3時。ちょうど手持ちの中国元が少なくなってきたので、両替するために銀行に向かった。しかし、どこの銀行も既に閉まっていて、両替できない。数軒あたってみたが、どこもダメだった。実は、その日は12月31日の大晦日で、通常の営業時間よりも早く金融機関は営業を終えていたのだ。このことが本当に誤算だった。麗江には銀行以外に両替屋のようなものがなく、ホテルでも宿泊客でなければ両替してもらえなかった。当然、僕の泊まっている安宿では、両替なんてしてもらえない。
「まあ、なんとかなるだろ。」と安易に考えていたが、このことが後になってちょっとしたトラブルの原因となるのだった。
次に僕が目指す濾沽湖「ユグフ」という湖は想像以上に遠い秘境だったのだ。