FUNKY MONKEY TRAVELERS

CROSS THE MIDDLE EAST 18 -中東旅行記-

18.これでもう終わり?

もうこれで旅が終わるのか? ピラミッドからの帰りのバスの中で、そのことが頭から離れなかった。学生である僕にとっては無期限の旅行なんて無理だし、もうすぐ長かった学生生活も終わりになるのだ。帰国すれば卒業式があって、4月からは社会人となる。もう長旅なんて出来ない。これで終わり?旅も卒業するのか?
初めから時間的にエジプトをじっくりと観光するなんて出来ないと思っていたし、カイロだけ見てまわって、またいつか来ればいいと思っていた。でも・・。何か物足りなかった。でも、帰国まで後3日、一体何が出来るんだ?
その時、僕の心の中には思いついた場所、可能であれば行ってみたい場所が浮かんだ。
「アブシン・ベル神殿」
南のスーダンとの国境の近くにある巨像遺跡である。約3300年前、古代エジプトの王ラムセス2世が作った自らの巨像である。中東を旅して神殿や石柱の遺跡には飽きたが巨像となると話は別だ。その美しさや完成度はピラミッドと並ぶと思う。写真なんかで見て、前々から見てみたかった。
思い立ったら、すぐに実行に移すのが僕の性格。まず、航空会社に向かい、アブシン・ベル行きの飛行機に空席があるか聞いた。しかし、答えはバツ。1日1本しかない上、明日の便となると、空席はなかった。僕は3日後に帰国しなければいけない事情とアブシン・ベルにどうしても行きたいという熱意をカウンターのお姉ちゃんに話した。すると彼女は「それなら、アスワンに行けばいいのよ。そこからバスでアブシン・ベルに行けるわよ」と言うのである。アスワンからアブシン・ベルまでは約280km、バスで4時間の距離らしい。ガイドブックを読むと、アスワンを朝4時に出発し、アブシン・ベルを観光し、午後2時にアスワンに戻ってくるツアーがあると書いてある。
これなら何とかなるなと思った。明日の夕方の飛行機でアスワンに飛び、明朝4時のツアーに参加し、その日の夕方の飛行機でカイロに戻る。これならば、完璧だ。だた、怖いのは飛行機の欠航などのトラブルだ。しかし、僕の意志は固かった。そうなれば、そうなったときだ。僕はアスワン往復のチケットを購入し、翌日アスワンへと飛び立った。