FUNKY MONKEY TRAVELERS

CROSS THE MIDDLE EAST 16 -中東旅行記-

16.紅い海

僕はエルサレムを後にした。それまで一緒だった平野さんは、ガリラヤ湖周辺を見に行くというので、ここで別れた。1週間ほど彼とは同じく旅をさせてもらったことになる。「じゃあ、また!」男同士の別れというのは豪く簡単なものである。でも内心は寂しい。
さて、当初、僕はそのままエジプトに向かう計画だった。しかし、意外なプランが閃いていた。それは「世界で最も青い海」と呼ばれる紅海でリゾートするというものだ。今回の旅にはちょっと似つかわしくないリゾート。だが、長く砂漠を旅してきた僕にとって「リゾート=海」が非常に魅力的で新鮮に思え、「砂漠の埃を海で洗い流したい!」(シャワーはしています)という欲求に駆られた。実はそう思いついたのには訳があった。ヨルダンで一緒だったイギリス人クリス(レバノンには一緒に行けなかったけど)はエイラットのあるホテルで働いていた。その彼が言うには、「イスラエルに行ったら、是非エイラットに行ってほしい」「絶対にすばらしい」「Very beautiful sea!」という。エイラットはイスラエル最大のリゾート地で、1年中温暖で、真っ青な珊瑚の海が広がっているという。
ここまで言われたら、是非行ってみたいと思うものだ。偶然、エルサレムで同じホテルに泊まっていた日本人の片山君、藤田君も行くというので、一緒にバスに乗って、エイラットに向かった。

イエロー・サブマリン

イエロー・サブマリン

エルサレムからエイラットまでは約4時間。到着すると、バス停で待っていた客引きおばさんにもらわれていくかのように安宿に連れて行かれた。3人だから安いし、部屋もきれいだった。
とりあえず、泳ぐのは翌日にして、エイラットで名物の潜水艦に乗りに行くことにした。
バスに乗って、海岸線沿いに走ると、真っ白な砂浜に真っ青な海が素晴らしいコントラストを描いているのが見える。
「なにこれ! めっちゃ、きれい!」
思わず叫んでいた。片山君、藤田君もとても興奮していた。こんなきれいな海は今までに見たことがなかった。
早く泳ぎたいという欲求を押さえながら、潜水艦の発着場所である海底水族館へ。この水族館では、紅海の美しい海の様子が館内からも見ることが出来るようにと、強化ガラスで館内と海とを仕切っている。だからすばらしい珊瑚や魚の群れも館内から見ることが出来るのだ。この紅海の珊瑚は、「世界で最も珍しい種の多い珊瑚礁」として有名であるらしい。というのも、紅海が特殊な地形で、その地形・海流の影響を受け、独自進化した種が多いらしい。だから水族館の希少性は非常に高いのだ。
水族館で潜水艦のチケットを買って、潜水艦へと乗り込んだ。船体は鮮やかなイエロー。名前も「イエロー・サブマリン」。艦内の両サイドに椅子が並べられ、その横に窓がいくつもある。軍事潜水艦のような汚いものではなく、いかにも観光用という感じの清潔なものだった。しかし、こんな観光用潜水艦でも深海60mまでは潜れるらしい。
艦は出向した。僕たちの前の大きなスクリーンには船上カメラから見た映像が映し出され、しばらくして潜水を開始した。前方のスクリーンに潜水していく様子が映し出される。窓からの見る景色も徐々に暗くなり、海の中へと沈んでいく様子がわかる。青く澄んだ美しい海。様々な魚の群れや珊瑚礁が窓から見える。1時間ほどの遊覧潜水だったが、今まで経験したことのない海の様子をつぶさに見ることが出来た。
紅海でシュノーケリング

紅海でシュノーケリング

翌日、コーラル・ビーチに向かった。今回の旅には水着を持ってきていなかったため、近くのショップで水着を購入し、ビーチに向かった。エイラットには無料のノース・ビーチと有料のコーラル・ビーチとがある。コーラル・ビーチは自然保護団体に保護されているために有料。しかし、コーラル・ビーチは珊瑚礁のビーチでその美しさには定評があり、せっかくエイラットに来たからにはコーラル・ビーチに行かないと意味がないのだ。
僕たち3人は入場料を払い、シュノーケル、マスク、フィンの3点セットを借り、早速、海の中へ。水温は冷たくもなく、適度な温度、一年中観光客が絶えないというのにも頷ける。僕は水泳を習っていたので泳ぎに自信が有り、一旦、海の中に入るとなかなか出てこないという性格だった。シュノーケルを付け、水中散策をすると、そこには別世界が広がっていた。美しい珊瑚礁と美しい魚の群れ。普通、ダイビングで海底に潜ればこのような光景にも出会えるかもしれないが、海に入っただけで即、このような光景に出会えるのだ。結局、丸一日ここでリゾートを楽しんだ。砂漠の旅の疲れを癒すどころか、遊びすぎてすっかり疲れてしまったけれど・・
藤田君(左)、僕(中)、片山君(右)

藤田君(左)、僕(中)、片山君(右)

夕食はクリスが働いていたホテルでピザを食べた。イスラエル人はピザが好きでよく食べるようだ。ここのピザがまためちゃ美味しかった。
充分にリフレッシュできた紅海の街・エイラット。そして遂に、最終目的地エジプト・カイロに向かう。