FUNKY MONKEY TRAVELERS

CROSS THE MIDDLE EAST 15 -中東旅行記-

15.シンドラーの墓

ベツレヘム聖誕教会

ベツレヘム聖誕教会

翌日は、平野さんとは別行動で、僕は一人エルサレム近郊のベツレヘムに向かった。
ベツレヘムといえば、イエス・キリストが生誕した地である。しかし、歴史的に有名な地では在るが、街自体は古くて小さな街であった。イエスが生まれたとされる聖誕教会(元馬小屋)も貧弱なものだったが、多くのクリスチャンがこの地に巡礼に訪れていた。ただ、それは僕を燃え上がらせるようなものではなかった。
少し期待はずれだったので、僕はすぐにエルサレムに戻った。目当ては「オスカー・シンドラーの墓」。昨夏に公開されたS・スピルバーグ作「シンドラーのリスト」を見て、その映画に深く感銘を受けた。シンドラーとはユダヤ人をナチスドイツの虐殺の手から救ったドイツ人実業家。その彼の墓がエルサレムにある。映画のラストシーンで、彼の墓が登場し、彼が救った多くのユダヤ人とその子孫の手によって墓参りが行われる。それを見て、僕は是非訪れてみたいと思っていた。多分、映画を見た人なら「3人に1人」は行きたいと思うはず。せっかくここにやって来たのだから、行かない手はない。
前日にホテルで情報収集をしておいた。聞いた話によると、「旧市街・ヤッホ門を出た近くの墓地にあるらしい」という。ただし、正確な情報ではなく、曖昧な部分が多い。もちろん、ガイドブックにも案内板にも、そんな情報はない。だが、探してみる価値は充分にありそうだった。
旧市街・ヤッホ門から外に出ると、ヤッホ通りが面している。その通り沿いは、墓地がたくさん並んでいた。さすがに聖地と言われるだけのことはある。ずらっと墓地の中から1個人の墓を探すとなると、かなり難しそうだった。しかし、あきらめるわけには行かない。
“Never give up ! “ 高校の歴史の先生がよく口にしていた言葉だ。その言葉を胸に、僕は一つ一つ探していこうと決めた。午後3時。夕暮れまでには、まだかなり時間がある。墓地に入り、一つ一つ名前を見て探す。もし見逃したらそれで終わりだ。1個所、2箇所・・時間は過ぎてゆく。
オスカー・シンドラーの墓

オスカー・シンドラーの墓

やっぱり無理なのかと思ったその瞬間、墓の上に多くの小石が詰まれているものが、僕の目に留まった。「もしかして・・」
僕は小走りに駆け寄り、墓名を見てみた。
“OSKAR SCHINDLER 28.4.1903 - 9.10.1974”
間違いない。紛れもなく「オスカー・シンドラーの墓」だった。探すこと約1時間。やっと見つけた。とりわけ、立派な装飾もなく、大きな墓でもないが、映画と同じく無数の小石が詰まれていた。これがあのシンドラーの墓なのか・・深く感動した。僕はシンドラーの墓に敬意を表して墓参りし、映画の真似をして、墓に小石を積んだ。これでまた一つ、旅の前から目標としていたことを達成した。