FUNKY MONKEY TRAVELERS

CROSS THE MIDDLE EAST 08 -中東旅行記-

ダマスカスの夜

パルミラ滞在2日目も朝から精力的に活動した。まず、遺跡の南側に位置するベル神殿へ。この神殿だけは入場料を取られた。大きな壁で隔てられており、外部からその様子を覗い知ることはできない。しかし、中に入ると想像以上に巨大な神殿が待っていた。僕は思わず「Ohhh!」という唸り声を上げてしまった。入場料を払う価値は充分にある。それも、このときは僕以外に誰も観光客がいなかった。こんなにも立派な神殿を独り占めしていたのである。贅沢な話だ。高さは40mほど。ギリシャのパルテノン神殿のような石柱が本殿を囲むように建っている。だがその半数近くは崩れていた。約1800年もの間放置されたままになっていたのだ。当然のことかもしれない。

アラブ城

アラブ城

次に訪れたのがアラブ城だった。アラブ城は遺跡から少し外れた岩山の頂上、遺跡を見下ろすような位置にある。遺跡の入口から遺跡の中心を見るとその向こうにそびえ立っているのがアラブ城である。登りにくい岩と砂でできた道を登っていくと、30分程で頂上に到着した。しかし城の入り口には鍵がかかっていた。せっかくこんなところまでやってきたのにと思って、がっかりして座っていると、たまたま観光客を連れてガイドがやってきて、ついでだから入れてくれた。ラッキー!

アラブ城から見た光景

アラブ城から見た光景

アラブ城はいかにも廃墟という感じで、その大部分が崩壊もしくは土に埋もれかけていた。しかし、城内からの眺めは抜群で、遺跡を一望できた。昔は難攻不落の要塞だったのだろう。広大な敷地に遺跡が点在していた。その向こうにはタドモールの町と緑の草原が広がっていた。改めてここがオアシスであることを実感した。

結局パルミラで2泊して、次の目的地・ダマスカスへと向かった。ホテルの前の通りでバスを待っていると
「ダマスカス、ダマスカス・・・!」

十字軍からダマスカスを守った英雄サラディンの騎馬像

十字軍からダマスカスを守った英雄サラディンの騎馬像

とアラブおやじが窓から連呼しているセルビスバスが僕の目の前で止まった。迷わず満員のミニバスに飛び乗った。アレッポからやってきたときと同じようにホムスを経由して、ダマスカスへ。
ダマスカスへはパルミラから3時間ほどで到着した。第一印象は想像以上に大都会。市内はアレッポよりも車と人でひしめき合っていた。何しろダマスカスは人口100万人の巨大経済都市なのだ。そして、至る所にアサド大統領の写真や絵がかかっていた。ダマスカスは近代的な建物が建ち並び町の中心地となる「新市街」とスークやモスクが残っている「旧市街」とに分かれていた。僕は当然のように旧市街エリアに宿をとり、その中心へと足を運んだ。この旧市街は高さ10mほどの城壁で囲まれていて、今でもその堅固な壁は軍事都市の面影を残している。旧市街へ入る門の近くには、馬に乗った高さ5mほどの勇敢な兵士の彫像が、今にも動き出しそうに構えている。きっとシリアの英雄か何かなのだろう。僕はまずスークへと向かった。ダマスカスのスークはアレッポのそれとは少し趣が違っていた。スークの中は巨大なアーケードのようになっていて、道幅も広く、多くの人で混雑していた。僕としてはアレッポのスークのほうが好きだな。

ウマイヤド・モスク

ウマイヤド・モスク

次にウマイヤド・モスクに訪れた。このモスクは世界最古のモスクとして有名らしく多くの巡礼者でにぎわっていた。少しのアメリカ人観光客グループを見た以外は、観光客は見当たらなかった。壁には金色を基調とした美しいモザイク画が描かれており、その広さと美しさは世界でも屈指のモスクであろうと想像できた。
その後も旧市街を散策していると、シリアに入国して初めての日本人に出会った。その人は日本の女子大生で僕と同じように卒業旅行で、一人で旅をしていた。名前は木村さん。すぐに仲良くなり、一緒に見てまわった。久しく日本語ではしゃべっていなかったので、日本語を話せることがとても嬉しかった。

夜のウマイヤド・モスク

夜のウマイヤド・モスク

しゃべりまくると時が経つのを忘れる。瞬く間に日も暮れて、辺りは暗くなっていた。ふと僕は夜のモスクを訪れてみたくなった。夜になれば、美しい装飾で飾られたモスクがライトアップされて、一層美しくなるだろうと思ったからである。僕の予想どおりウマイヤド・モスクは、すばらしく幻想的だった。コーランの響きとグリーンの光が僕自身を神聖な気持ちにさせてくれる。「心が洗われる」とはまさにこのことだ。それまではイスラム教なんて「これっぽっち」もわかっていなかった気がする。その光景を目にするまでは・・そして、そのとき初めて、イスラム教の「良さ・すばらしさ」みたいなものが見えてきた気がした。
すばらしい光景を目に焼き付け、明日はヨルダンへ。