ダマスカスの夜
パルミラ滞在2日目も朝から精力的に活動した。まず、遺跡の南側に位置するベル神殿へ。この神殿だけは入場料を取られた。大きな壁で隔てられており、外部からその様子を覗い知ることはできない。しかし、中に入ると想像以上に巨大な神殿が待っていた。僕は思わず「Ohhh!」という唸り声を上げてしまった。入場料を払う価値は充分にある。それも、このときは僕以外に誰も観光客がいなかった。こんなにも立派な神殿を独り占めしていたのである。贅沢な話だ。高さは40mほど。ギリシャのパルテノン神殿のような石柱が本殿を囲むように建っている。だがその半数近くは崩れていた。約1800年もの間放置されたままになっていたのだ。当然のことかもしれない。

アラブ城

アラブ城から見た光景
結局パルミラで2泊して、次の目的地・ダマスカスへと向かった。ホテルの前の通りでバスを待っていると
「ダマスカス、ダマスカス・・・!」

十字軍からダマスカスを守った英雄サラディンの騎馬像
ダマスカスへはパルミラから3時間ほどで到着した。第一印象は想像以上に大都会。市内はアレッポよりも車と人でひしめき合っていた。何しろダマスカスは人口100万人の巨大経済都市なのだ。そして、至る所にアサド大統領の写真や絵がかかっていた。ダマスカスは近代的な建物が建ち並び町の中心地となる「新市街」とスークやモスクが残っている「旧市街」とに分かれていた。僕は当然のように旧市街エリアに宿をとり、その中心へと足を運んだ。この旧市街は高さ10mほどの城壁で囲まれていて、今でもその堅固な壁は軍事都市の面影を残している。旧市街へ入る門の近くには、馬に乗った高さ5mほどの勇敢な兵士の彫像が、今にも動き出しそうに構えている。きっとシリアの英雄か何かなのだろう。僕はまずスークへと向かった。ダマスカスのスークはアレッポのそれとは少し趣が違っていた。スークの中は巨大なアーケードのようになっていて、道幅も広く、多くの人で混雑していた。僕としてはアレッポのスークのほうが好きだな。

ウマイヤド・モスク
その後も旧市街を散策していると、シリアに入国して初めての日本人に出会った。その人は日本の女子大生で僕と同じように卒業旅行で、一人で旅をしていた。名前は木村さん。すぐに仲良くなり、一緒に見てまわった。久しく日本語ではしゃべっていなかったので、日本語を話せることがとても嬉しかった。

夜のウマイヤド・モスク
すばらしい光景を目に焼き付け、明日はヨルダンへ。