FUNKY MONKEY TRAVELERS

CROSS THE MIDDLE EAST 04 -中東旅行記-

4.奇岩群

カッパドキア・ギョレメ行きのバスは予想以上に高級な近代的バスだった。ベンツ社製。トルコは、鉄道交通は発達していないが、バス交通は大変発達しており、その乗り心地・サービス・速さとも申し分ない。こんなにいいバスなのに料金も驚くほど安い。バスに乗るとすぐに添乗員が消毒用の香水?を配ってくれる。車内には最新のトルコ音楽が流れる。
バスはアンカラを経由して、朝8時にギョレメに着いた。約13時間もかかった。カッパドキアは思ったよりも寒かった。イスタンブールよりも寒いかもしれない。とりあえず、今日の宿屋をどこにしようかとガイドブックを見ていると、中年のおやじが声をかけてきた。
「カッパドキアのツアー、行かないか?」
到着して数分足らずなのにもう客引きにつかまった。確かに、カッパドキアを能率よくまわるのはツアーに参加するか、タクシーをチャーターするぐらいだろう。どうする? はっきり言って、疲れていた。13時間もバスに揺られてきたのだ。参加すれば、自家用車でまわってくれる。かなり楽だろう。それに、このガイドには既に客がいるらしく、相乗りということになる。ということは当然割安だった。
「わかった。OK! でも、どこかいいホテル知らないか?」
というわけで、おやじの紹介でカッパドキアらしい岩穴ホテルに泊ることになった。安いし、結構いい感じの部屋だ。

藤巻さん(中央)と小谷さん(右)

藤巻さん(中央)と小谷さん(右)

ツアーの他の客とは日本人の女子大生だった。小谷さんと藤巻さん。2人とも明るく、よくしゃべる人だった。おやじのボロ車に乗り込んで出発。真っ青な青空を見て、眠っていた僕の脳も動き出してきた。「やるぜ!」
このカッパドキアの奇岩群であるが、どうしてこのような奇妙な形の岩が形成されたのかというと、昔の火山活動で降り積もった火山灰や溶岩が歳月をかけて岩になり、さらに歳月をかけて柔らかい火山灰の層が風雨で侵食されて、硬い溶岩の層だけが残ったのである。つまり、歴史と自然が作り出した巨大オブジェなのだ。それにしても奇妙な形をしている。カッパドキアには、このような地形を利用した地下都市や、城砦があり、キリスト教聖堂も数多く見られるという。

地下都市

地下都市

まずは、地下都市の中でも有名なカイマクルに向かった。ここは地下8階まで続いており、巨大迷宮を作り上げている。少し腰をかがめて内部に入っていくと、日本の戦時中の防空壕を思わせる通路が続いていた。観光客が迷わないようにと立ち入り地下都市禁止のロープが所々に張り巡らされていた。とりあえず、地下に行くのは怖いので屋上へと向かう。外光がほとんど入らない通路を中腰で進むと、ここが地下なのか地上なのか全くわからなくなってくる。細い通路を通り抜け、やがて頂上へと抜け出た。地上から30mほどはあるだろうか。頂上から見る景色はこの上なく格別だった。果てしなく続く地平線。大地を埋め尽くす奇岩群。大きな白い雲がその褐色の大地に影を落としていた。一瞬、地球にいることを忘れてしまうような風景だ。地球? それとも月?僕がもっとも感動したのは巨大なキノコ岩だ。高さ30m程はあるだろうか。写真から想像する大きさとは比較にならないほど、遥かに巨大な岩である。理論的に火山灰と侵食で・・・と言われたところで、理解し難いものがある。「自然って不思議だな」と改めて思う。
オープンエアムージアムには奇岩群に作られた聖堂や修行所などがある。キリスト関係の壁画などが描かれており、7~8世紀のもので、侵食や悪戯傷が激しいが芸術的にも美しいものだ。これらの聖堂や修行所などはイスラム軍の侵攻に伴うキリスト教迫害の歴史でもあるらしい。このメルヘンチックなキノコ岩にも悲しい過去があったのだ。何事にも表面的にみるだけでは駄目だなと思う。
ツアーが終わり仲良くなったツアーのおやじや小谷さんたちと夕食を共にした。このおやじ、何とも人がいいみたいだ。一緒に酒を飲み、住所を教えてもらって再会を誓った。
イスタンブールも、カッパドキアもいいところだった。しかし僕は旅路を急ぐことにした。明日シリアに向けて南下する。