
グランバザール
それから、ヨルダンのビザを取りに大使館へ向かった。ガイドブックには住所が書いてあるだけで、地図は載っていなかったのでタクシーに乗って向かった。しかし、タクシーの運転手も全然わからない。結局、ヨルダン航空のオフィスの前で無理やり降ろされた。仕方なしに、ヨルダン航空で場所を教えてもらって、何とか大使館にたどり着くことができた。ビザは翌日できた。今回の旅行では、シリアのビザだけ日本で取ってきた。ヨルダンはイスタンブールで、エジプトはアンマンで簡単に取ることができるのだ。
翌日、まずトプカプ宮殿へと向かった。6.65キロの三重城壁に囲まれたトプカプ宮殿はオスマン帝国の王・スルタンの宮殿だった。ここには有名なハーレムがあった。強大な権力者たちの夢の宮殿。内部は豪華な装飾品で飾り立てられ、博物館には世界中の宝飾品が数多く展示されていた。日本製壺や刀剣もあった。この宮殿内には不思議と異文化を融合させるような力がある気がした。日本とヨーロッパ、イスラムのものを並べてあっても違和感がない。トプカプ宮殿はボスポラス海峡に面していて、その宮殿からはヨーロッパとアジアを結ぶガラタ橋を望むことができる。そして、その橋の向こう岸はアジア・サイド。ヨーロッパからアジアへ。僕の旅はまだまだこれからなのだと改めて思う。

アヤソフィアのモザイク
イェレバタン・サライは地下宮殿と呼ばれている。ビザンチン・オスマン両時代の貯水地だったらしい。336本の柱が天井を支えており、地下に居ることを忘れてしまうぐらい広々とした空間が広がっている。そこに奇妙なものがある。メドゥーサの首。メドゥーサとはギリシャ神話に出てくる怪物。ゴルゴシ三姉妹の一人で、髪が蛇でできている。「その姿を見た人を石へと変えてしまう」といわれている。この地下宮殿にあるメドゥーサは頭を逆さまに下に向けられ、頭の先は水に浸けられていた。最初に見たとき、一瞬ギョッとしたが、後になって考えると、ちょっとかわいそうな気もする悲しい像だ。

メドゥーサの首
それからも、ぶらぶら3人でイスタンブールの街中を散策した。確かにイスタンブールは美しい街だった。何日居ても飽きないかもしれない。実際、この街で長居しているバックパッカーは山ほど居る。しかし、トプカプ宮殿からボラポラス海峡とその向こうに見えるアジア・サイドを見たときから、僕の心はアジアへと向かっていた。僕は今日の夜行バスでカッパドキアに行くことを決心した。トルコをじっくり旅するという白川君と染川君に日本での再会を約束して別れ、バス・ターミナルへと向かった。
僕はボスポラス海峡を渡り、アジアへ。