FUNKY MONKEY TRAVELERS

行くしかないだろVENEZUELA 10-ベネズエラ旅行記

10.決死のフライト

広大なジャングルの上を飛ぶ

広大なジャングルの上を飛ぶ

サンタエレナ行きの小型セスナは微妙な高度で飛んでいた。機体は全然安定せず、微妙な揺れが止む気配は全くない。眼下は野球場の人工芝のように青く茂ったジャングルと、そのジャングルの間をジグザグに激しく曲がりくねった川が広がっている。その平らな地表からは、垂直に切立った巨大な台地が幾つもそそり立っている。まるで新宿の高層ビル群の谷間を飛んでいるような感覚だ。そして、今、セスナの進行方向左手には、特に巨大なテーブルマウンテンが聳えていた。この大きさから判断して、アウヤンテンプイだろう。約1000mの垂直の岩壁。その影響か、壁にぶつかった風は、束になって集まり、強い乱気流となり、何度もセスナを煽る。そして、機体は左右のバランスを崩し、大きく右に押し流される。パイロットもすぐに反応して、幾度となく、操縦桿を左に傾けていた。
「やばい、落ちるかもしれない。」
今まで、結構危険な目には遭ってきた。しかし、今回は相当な恐怖感を覚えた。

ギアナ高地を飛ぶセスナ

ギアナ高地を飛ぶセスナ

僕は常に窓から地上を眺め、緊急着陸できそうな平地を探していた。呼吸が深くなり、冷汗が流れ、体温が高くなってくるのが分かる。まだ、体調は戻っていない。それに加えてのこの危機的状況が僕を襲う。精神的に完全に追い込まれていた。
こんな感じで、地上を眺めていたとき、突然機体が、落とし穴に落ちたように、ストンと急降下した。エアポケットだろう。ほんの一瞬だが僕たちの身体は宙に浮いた。隣のポーランド人は天井に頭をぶつけ、手で頭をさすっている。僕はシートベルトをしっかりと締めていたお陰で事無きを得た。すぐに、後ろのMaruに「やばいぞ、まじで。」と声をかける。Maruも危機を感じている様子で、笑えない。この状況ではどうすることもできない。とりあえず、この時間にルーズなパイロットに任すしか、神に祈るしかない。
僕は外を見て、着陸できる場所を探すことをやめて、目をつぶった。
 「寝よう!」
このまま起きていても、苦しいだけだし、頭は痛いし、寝れば楽になれる。この状況で寝ることは、逃避以外の何ものでもないかもしれないが、こんな飛行状態でずっと起きているのは無理だと判断した。あとは神のみぞ知る。
そして、約1時間後、僕は着陸の衝撃とともに目を覚ました。幸い、そこはアスファルトの上、つまり飛行場の滑走路だった。この時ばかりは、「もうセスナは嫌だ」とつくづく思った。
こうして、僕たちはブラジルとの国境沿いの町、サンタ・エレナ・デ・ウァイレンに到着した。