FUNKY MONKEY TRAVELERS

グレートだぜZIMBABWE 09-ジンバブエ旅行記-

9.WILD RIVER 3

「THE MOTHER」は想像を超える激しい急流だった。突入してすぐに、僕の頭上を遙かに越える高波が目の前に現れた。ボートがその高波に激突し、左に大きく傾いた。「これは仕方ない」と腹をくくるのと同時に、ゆうさんが僕の方へ倒れ込んできた。ついに、この時がやってきたのだと思った。どうすることもできず、僕も一緒に水面へと転落した。
水は容赦なく、僕たちを河底へと引きずり込んだ。事前の講習での「落ち着いて3秒数えれば、自然と体が浮いてくる。決してパニックを起こすな」という言葉を思い出して、「冷静になろう」と心に言い聞かせた。
しかし、体は水中でぐちゃぐちゃにされ、自分がどんな状態なのか、さっぱりわからない。落ちてしまった場合、岩に頭をぶつけるといけないので、頭は川上へ向けなければいけない。しかし、なかなか体が思うようにならない。3秒数え終わっても、まだ水の中だった。かなり流されている。それから5秒ぐらいして、やっと顔が水面上に出た。すぐに、息をしようと口を開けた。しかし、口を開けるのと同時に、大きな波が僕を襲ってきた。 結局、息はほとんどできずに、多量の水を飲んでしまった。苦しい、しかし、むせている暇はない。とりあえず、助かりたいと心から思った。
「こんなところで死にたくない」「ゆうさんとMaruは大丈夫か」「死んだら家族はどう思うのだろう」など、一瞬にしていろんな事が頭を交錯する。「なんとかして、ボートにたどり着かなければ・・」 ようやく水面に顔を出すことができた。3mぐらい離れたところには、Maruがカヌーにつかまっていた。「僕もカヌーに」と思い、全力で泳いだが、川の流れに負けて、全然進まない。人間の非力さ、自然の恐ろしさを改めて知った。その状況の中でも泳いでいると、目の前にボートに乗ったラッセンが現れた。僕には彼が神のように見えた。映画スターみたいだ。僕は2mぐらいの距離をなんとか泳ぎ、ボートの端につかまった。
全身の力がすべて吸い取られたように、力がなくなっていた。隣にはMaruがボートにつかまっていた。ボートのロープにつかまっているのがやっとで、もう自力で船に上がる力もなく、ラッセンに引き上げてもらう。反対側にはゆうさんも見えた。どうやら、みんな無事らしい。

「50歳にはきつすぎる」とゆうさん(左)

「50歳にはきつすぎる」とゆうさん(左)

「はあ、はあ」と息をしながらも、笑いがこみ上げてきた。もう笑うしかない。それほどの激流だった。
Maruに「カメラ落としたやろ」と聞くと、Maruはうなずいた。少しがっかりだったが、この場合は仕方がない。カメラより命が大事と納得していると、ゆうさんが船に上がってきた。なんとその手には「水中写るんです」があるではないか。
「なんで持ってるの?」
と聞くと、川に落ちて、水面に浮上してきたとき、目の前にカメラがあったらしい。それを死にものぐるいでつかんだそうだ。奇跡だった。というか、命知らずだ。恐るべしゆうさん。
もう一人のすごい人は、ラッセンだった。実は、我々のボートは転覆していなかったのだ。ラッセンはずっと、船を操作していたのだ。落ちたのは僕たちだけだった。
「THE MOTHER」を終え、我々3人はみんな疲れていた。
最高の経験でした!

最高の経験でした!

その後、疲れながらも、RAPID 14,15とクリアしていった。「THE MOTHER」以来、すこし水が怖くなってオールを漕ぐのは程々に、すぐにロープを掴んで、安全な体勢をとっていた。
RAPID #15「THE TERMINATOR」では、Maruが一人だけ落ちた。Maru曰く、「一生懸命漕ぎすぎた」らしい。水に落ちたMaruは、必死の形相でボートにしがみついてきた。
その後、RAPID #16~#23までは、今までの経験を生かして、犠牲者もなくクリアした。
ラフティングが終わり、ボートを降りた。最後は、川岸から車が止まっている谷の頂上まで登った。谷の高さは200mぐらいあるだろうか。疲れ果てた体には、この登山はきつかったが、登るしかない。20分ぐらい登ると、そこには、朝の車が待っていた。頂上から激流の川を見ると、すごい達成感がこみ上げてきた。我々を苦しめたザンベジ川を見ながら、冷えたビールを飲む。めちゃうま。他の外国人とも喜びを分かち合い、ラッセンと一緒に記念写真を撮った。最高の気分だ。
そこから車で50分。ザンビアの国境へと戻った。ここで、日本人のタケシとガイドのラッセンにお礼と別れを告げた。
「BYE BYE! THANK YOU VERY MUCH!」
ザンベジリバー、すごい川だった。そして何よりもすごいと思ったのは、ラッセンだった。たくましい。こうして、僕たちのラフティング初体験は終わった。
後のビールが最高!

後のビールが最高!