FUNKY MONKEY TRAVELERS

グレートだぜZIMBABWE 08-ジンバブエ旅行記-

8.WILD RIVER 2

「THE BOILING POD」は予想以上に手強かった。急流は、ヴィクトリアフォールズから流れ出て、右に大きく曲がっていた。流れの中央には、大きな波のこぶがいくつもある。左岸から出発する我々は、スピードにのって、そのこぶを越え、流れの右の方へ進まなければ、次のステップには進めなかった。しかも、こぶを超えてすぐに左右に曲がれずにそのまま直進すると、大きな岩にぶつかってしまう。
僕たちの前のグループは、すでに4回も失敗し、最後にはボートが前方の岩にぶつかって、右に転覆し、流されながらも、何とかクリアしていった。最初から、いきなり難所だ 。
「BACK SIDE」というラッセンのかけ声に併せ、僕とMaruは波に向かって体をつきだした。大波が次々とぶつかってくる。ラッセンはオールを使って、ボートを加速させていく。しかし、こぶの頂上近くまでは行くのだが、そこから先には進んでくれなかった。岩にぶつかる直前に、アタックを諦め、左に急旋回する。もう一度。しかし、再チャレンジも失敗に終わった。3回目、ラッセンは上流から漕いで、勢いに乗って波を越える作戦に出た。
今度こそ、とばかりに、僕とMaruは、前方の波に向かって、思い切り体を投げ出した。
 「いけ!GO!」
僕たちの願が通じたのか、ボートは波を越え、「THE BOILING POD」をクリアしていった。成功だ 。
 「やった!」
うれしかった。川の水は冷たかったが、そんなことは忘れてしまっていた。みんなでガッツポーズをして喜んだ。だが、急流は全部で23個所にも及ぶ。まだまだこれから。つかの間の喜びであった。
RAPID #2、#3、#4 は、ラッセンのテクニックで何とか乗り切ることができた。僕たちは多量の水をかぶり、体が徐々に冷えてきた。ウェットスーツを着ているにもかかわらず、寒い。水温は20度以下だろうか。体がぶるぶると震える。
しかし、ゆっくりとしている時間はあまりなかった。そう、このラフティングで最大級の難所 RAPID 5「STAIRWAY TO HEAVEN」(天国への階段)が僕たちを待ち受けていた。この急流は、ラフティングを行っている川で最も落差のある急流、つまり世界で最もワイルドな急流であるらしい。
 「ラッセン!」
拝むような気持ちで、ロープにつかまり、最大の難所へ突入した。
滝のような激流。落ちたらどうなるかわからない。川は火山のように噴き出していた。船体は、1mほど落ち、そして、大波にぶつかって、その波を超えられない。激しい噴水の上でボートが浮きあげられている感じだ。その間にも暴力的な水流が僕たちをおそってくる。息もできないぐらいの曝流だ。僕たちは、しがみついているだけで精一杯だった。何もできない。ラッセンはオールを操って、脱出しようと必死にもがいていた。この間、数十秒だろう。ラッセンのおかげで、ボートはなんとかこの激流を脱出した。
 「やった!」
最大の難所を越えた。僕は右手をあげて、ガッツポーズをした。ラッセンのおかげだ。彼はすごい。

STAIRWAY TO HEVEN に突入

「STAIRWAY TO HEVEN」に突入


その後、RAPID #6,#7と難なく越え、RAPID #8 「MIDNIGHT DINNER」を前にした。ラッセンが僕たちに、
 「RAPID #8には、HARD,NORMAL,EASY の三つのコースあるけど、どれにする」
と聞いてきた。
僕は迷わず、「HARD」と答えた。Maruはやめてくれと言ったが、僕の気持ちは変わらない。RAPID #8 も大波が2回ほど僕たちを襲ってきたが、ここも、ラッセンのテクニックで乗り切ることができた。次のRAPID #9 「COMMERCIAL SUICIDE」自殺急流は、ラフティングでは行けない急流なので、ボートを持って、岸を歩いて、回避した。しかし、世界には強者が居る。この自殺急流をカヤックで進む外国人が居た。転覆しながらも、越えていった。すごいやつだ。
再びボートに乗り、RAPID #10も難なく越え、午前中だけのカナダ人夫婦はここで終了。
我々は、昼食をとるために、岸に上がった。気温もかなり低かったので、体がぶるぶると震えていた。暖かいコーヒーを飲み落ち着く。サンドイッチとサラダの昼食をとり、再びボートへ。昼からは、オールを使って、自分たちの力で進む「上級コース」だ。ラッセンから簡単なレクチャーを受け、出発した。
オールを使って漕ぐ場合、ボートの縁に座って、両手でオールを持つ。そのため、バランスがとりづらく、転落する可能性が高い。
「1、2!1、2!」と左右の漕ぎ手で、テンポを合わせる。一緒に漕がないと、なかなか前には進まない。前方左が僕。その右がゆうさん。Maruが中段右。補助として乗ってきたジンバブエ人のスタッフが中段左。ラッセンは、一番後方で、舵を取る。一生懸命漕ぐが、なかなか難しい。
上級コースでも、RAPID #11,#12 をなんかとクリアし、オールで漕ぐ楽しさを味わった。僕はMaruに、写真を撮ってもらった。実は、このラフティング用に「水中写るんです」を買って、持って来たのだ。通常であれば、そのカメラはMaruの短パンのチャック付きポケットにしまわれるのだが、その時に限って次の急流が、すぐそこに迫っていた。Maruは、カメラのひもを自分の足首に通して、そのままオールを漕ぐ体勢をとった。
間もなく、RAPID #13「THE MOTHER」(母)へ僕たちは突入した。実は、この急流はザンベジ川でも最も激しいものの一つだったのだ。その時はまだ、僕たちはラフティングの恐ろしさを認識していなかったのである。