FUNKY MONKEY TRAVELERS

NEPAL TREK 09 -ネパール旅行記1998-

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空港のすぐ横の雪山

空港のすぐ横の雪山

ジョムソンからポカラ行きの飛行機を待っていた僕たちは思ってもみない言葉を聞くことになった。
「飛行機が故障したので、今日は飛ばない。」
「なんじゃそりゃ!?」
天候不良で、よく飛行機が欠航するというのは聞いていたけれども、故障とは一体どういうことなんだ。僕は苛立ちを隠せなかった。
空港のすぐ横には5000m級の雪山が絶壁のごとく垂直に聳え立っている。
「俺をもてあそんでいるのか?」
山以外本当に何もない山奥で丸1日足止めを食うことは、僅かな休みを利用して旅している僕にとっては非常にもったいない話だった。でも、どうすることもできない。仕方なく、その日はダラダラと過ごした。
翌朝、予定どおり飛行機は飛んできた。これで何とかポカラに帰れる・・と思っていた僕にクルが悲しそうに言ってきた。
「一緒にポカラには帰れない。」
空から眺める美しい棚田

空から眺める美しい棚田

昨日の欠航のために、搭乗者が過剰になっていて、外国人料金を払っている僕は優先して乗せてもらえるので、大丈夫なのだが、ネパール人のクルは後回しとなり、座席を確保してもらえなかったらしい。
「明日の便で行くから、待っていてくれ、カトマンドゥには一緒に帰ろう。」というクルの言葉に頷き、僕は1人で飛行機へ。
飛行機は20人乗りぐらいの小型プロペラ機だった。プロペラを全速で回転させ、荒れた滑走路の上を加速していく、当然乗り心地は悪い。離陸すると、機体は急上昇し、目の前の大きな山を飛び超えていく。空の上から眺める美しい山々、もうみることのない光景を心に刻んだ。長かった徒歩での道程も、一瞬で通り過ぎ、約30分程でポカラの空港に到着した。
久しぶりに見る人々の群れとやかましい車の騒音。下界はこれほど喧しいものだったかと改めて実感した。
ペワ湖に浮かぶ寺院

ペワ湖に浮かぶ寺院

以前に泊まっていたホテルに宿をとり、午後からは観光することにした。まず、ホテルの前にあるペワ湖を、ボートに乗って遊覧した。ガイドは僕の指示どおりに湖畔を巡ってくれる。湖上は涼しい風が吹き、とても気持ちがいい。美しい湖からマチャプチャレの頂を眺めると、本当に心が落ち着く。とても優雅なクルージングだった。
レイクサイドで久しぶりの日本食を食べ、自転車を借りてブラブラを周っていた。ボーっとしていると、時間はアッという間に過ぎていった。
よく漕いでくれたガイド

よく漕いでくれたガイド

翌朝、結局クルはホテルには現れなかった。もしかしたら今日も乗れなかったのかもしれない。仕方なく、1人でバスに乗ってカトマンドゥに戻ることにした。
相変わらずのグネグネの山道、車内は満席で、その熱気でムンムンしている。僕の隣の席は若い兄ちゃん。耳にはピアスを空けている。ネパールではイケてるんだろうな、とどうでもいいことを考えながら、外の景色を眺めていた。
車に酔ったのかもしれない、さっきから気分が悪かった。なんだか、急に頭がクラクラし、体中から汗が流れている。やばいかも・・そう思い、窓を開けて風にあたる。
でも、全然体は楽にならない。ますます顔は血の気を失い、Tシャツは汗でビショビショになっていた。
「もうだめだ・・Help me !」と隣の兄ちゃんに倒れかけるように言い残すと、僕は意識を失った。