FUNKY MONKEY TRAVELERS

NEPAL TREK 06 -ネパール旅行記1998-

Spring of Life

ゴレパニからタトパニまでの道程はそのほとんどが下り道であった。2853mのゴレパニから1189mのタトパニまでの標高差は、実に1664mもあるのだ。そのため、今日はきっと楽な行程になるだろうと思っていた。しかし、下り道では、足の筋肉に相当の負担がかかり、その上、新品のトレッキングシューズに足が慣れていないため、指先が徐々に痛くなってきた。そのため、タトパニまでの行程は、昨日以上に厳しい内容となった。

目指すタトパニとは現地語で「熱い水」という意味で、温泉が湧き出ていることで有名な村なのだ。ヒマラヤの奥地で入る露天風呂。雄大な景色を見ながらの入浴は、きっと、トレッキングで疲れきった筋肉をほぐし、リフレッシュさせてくれることだろう。そんな期待を胸に、アンナプルナ・サウスの山頂を正面に眺めながら、僕はタトパニを目指した。

途中、100頭以上の羊を連れた羊飼いたちとすれ違った。狭い山道を羊の大群がひしめきながら、向かってくる様子は、すごい迫力がある。クルに訪ねてみると、なんでもネパール最大の祭り「ダサイン(秋祭り)」がもうすぐ始まる。その時、各家庭では必ず羊を食べるという。そのため、羊飼いは、羊を何日もかけてカトマンズまで運ぶのであるという。ダサインはネパールの「お正月」のようなものらしく、その時ばかりは、クルも故郷に帰り、家族と共に過ごし、羊を食べるのだという。

すごい数の羊

すごい数の羊

昼食はモモというネパール風ギョウザを食べた。僕はどうも定番メニューであるダルバートという定食が苦手だった。ダルバートとは、ダル(豆のスープ)とバート(ご飯)とタルカリ(野菜のおかず)というセットメニューで、みんなこれを食べる。クルもダルバートが大好きだった。でも、僕は豆のスープと野菜のおかずが好きになれず、ちょっと嫌気がさしていた。そのため、クルの薦めで、モモを注文した。モモというギョウザはすごく美味しかった。手作りの皮といろいろなものが入った具はボリュームも満天だ。

そこの茶屋では女性が一人で店を切盛りしていた。子供は食器を洗い、母を手伝っている。まだ3歳ぐらい女の子だ。今の日本では考えられないような慎ましい光景に、胸が痛んだ。

母が作り

母が作り

子が洗う

子が洗う


山を下り、川沿いにしばらく歩くと、大きな釣り橋が見えた。山間を流れる川の流れは、激しく、水は濁って見える。その川の上を釣り橋で渡り、しばらくして、タトパニに到着した。ゴレパニからは約8時間。着くなり、ホテルの玄関に倒れ込んだ。何とか体力が持ったという感じだった。

釣り橋を渡ると、もうすぐタトパニ

釣り橋を渡ると、もうすぐタトパニ



タトパニの温泉は最高だった。川の辺にある露天風呂。プールのような四角いコンクリートの浴槽は、いろんな国のトレッカーで賑わっていた。みんないい顔をしている。

湯に浸かると、ピークに達していた旅の疲れが徐々に取れていく。湯は少しヌルヌルしていて、いろんな効用がありそうな気がした。この温泉のお陰で、僕は精気を取り戻し、ムクティナートを目指すことができた。僕にとって、タトパニは命の泉だった。